人工知能美学芸術研究会(AI美芸研)

第26回AI美芸研
「S氏がもしAI作曲家に代作させていたとしたら・2」

記録ページ

    • ・9/29(日)14:00-19:30
      ・東京藝術大学 美術学部中央棟第一講義室
    • 五名の講演者をお招きするシンポジウムとして行われる第26回AI美芸研は、現在開催中のAI美芸展「S氏がもしAI作曲家に代作させていたとしたら」(中目黒 The Container・10/7迄)の関連企画第二弾として、上野の東京藝術大学・美術学部中央棟第一講義室にて、9月29日(日)14時開始です。
      沼野雄司、中川俊郎、川島素晴、赤坂亮太、土屋雄をお招きするほか、全体討論には古川聖も登壇します。
      五年前の佐村河内守ゴーストライター事件と、現今の創作する人工知能トピックを接続し、作曲の根幹を問うという、必見必聴の回となります。
      提出された講演内容からは、大バトル化する可能性も読み取れます。
      是非ともお立ち会い頂き、全体討論にも御参加ください。

開催概要

  • 【名称】

    • 第26回AI美芸研「S氏がもしAI作曲家に代作させていたとしたら・2」
  • 【日時】

    • 2019年9月29日(日)14:00-19:30(開場13:30)
    • ※終了後近隣のお店にて、登壇者をお囲みする懇親会
  • 【会場】

  • 【講演】

    • 沼野雄司(音楽学者、桐朋学園大学教授)
    • 中川俊郎(作曲家、ピアニスト)
    • 川島素晴(作曲家、国立音楽大学准教授、日本作曲家協議会副会長)
    • 赤坂亮太(ロボット法研究者、産業総合研究所特別研究員)
    • 土屋雄(作曲家、東京音楽大学准教授)
    • 中ザワヒデキ(美術家、AI美芸研代表)
    • ※講演後、全体討論の時間を設けます。
    • ※全体討論には古川聖(作曲家、東京藝術大学教授)も登壇します。
    • ※講演と討論は撮影、実況、配信歓迎です。記録動画を後日公開します。
  • 【参加費】

    • 無料(原則どなたでも参加可、予約不要、懇親会費含まず)
    • ※入場は先着順、受付開始は開演30分前(13:30)です。
    • ※懇親会への参加は別途料金です。懇親会のみの参加は御遠慮ください。
  • 【備考】

  • 【主催】

    • 人工知能美学芸術研究会(AI美芸研)

講演内容

  • 「“作曲する”とはどういうことか」
    沼野雄司(音楽学者、桐朋学園大学教授)

    • 日本の著作権法では、著作物を「思想または感情を」「創作物に」「表現したもの」と定義している。当然ながら音楽作品の場合にもこの定義が適用されるわけだが、もしも人工知能が音楽を創作した場合、その「思想または感情」および「表現」という概念はどのように処理され得るのだろうか、あるいはどのように変質を被るのだろうか。この問題について直接答えを出すことは難しいが、将棋とAI、認知心理学の成果を応用した作曲、音楽と盗作をめぐる問題(あるいはゴーストライター)、現代音楽とオリジナリティといった問題について、いくつかの例を検討するとともに、西洋音楽の筆記性という問題とも絡めながら、考察をすすめたいと考えている。
    • ※音楽学者の沼野雄司は20~21世紀の音楽を主な研究領域とし、関心は「音楽と戦争」ほか多岐にわたる。著書『エドガー・ヴァレーズ:孤独な射手の肖像』(春秋社)他。桐朋学園大学教授。(※文責・AI美芸研)
      https://twitter.com/numanoyuji
    • 沼野雄司(音楽学者、桐朋学園大学教授)
  • 「創作者の“波動”(振動数)と芸術のレベルとの関係」
    中川俊郎(作曲家、ピアニスト)

    • 芸術家の心の状態が、内容に反映される…と云う概念が大方の意見である。あれほどの名作を作った人なら心も綺麗だろう…子供心に植え付けられるこの神話が万事、日常と芸術的行為との永遠の齟齬の発端だ。ところで、そもそも芸術に「波動」が関わっているものなのか? さらにAIにそれが実現可能なのか? 論証不能なテーマに則して「真実」への論述を試みる。
    • ※作曲家、ピアニストの中川俊郎は、「MUSIC TODAY '82」10周年記念国際コンクール第1位(自作自演)、日本広告音楽制作者連盟主宰の広告音楽大協技会にて受賞多数。日本現代音楽協会理事。(※文責・AI美芸研)
      https://twitter.com/t_nakagawa_jscm
    • 中川俊郎(作曲家、ピアニスト)
  • 「AI作曲家は成立するか」
    川島素晴(作曲家、国立音楽大学准教授、日本作曲家協議会副会長)

    • AIは今日既に作曲支援を実装しつつあり、AIによって近い将来需要が激減する職業に、編曲家や、既成のスタイルに基づく作曲家等も挙げられるだろう。しかし作編曲を行う立場からすると、AIには不可能と断定できる作業を多分に含んでいる。飽くなき探究と高度な創作性を前提とするなら、それすらAIが凌駕する未来は訪れ得ないと感じるし、そのような実感こそが、今日の作曲家に求められる創作性なのではなかろうか。
      AIは、これまで十把一絡げに「作曲」と称していた業を、真に創作性を孕むものとそうでないものに峻別する。そしてその線引きのイタチごっこは、連綿と続けてられていく。
      本講演は、AIには凌駕できまいと考える創作性の具体例を示し、そのようなレヴェルでイタチごっこの先を行く作業を継続できる者のみを真の作曲家と定義するならば、AI作曲家は永遠に出現できないということを導くものである。(N氏の仕事も、そういった意味でAI作曲家に代替可能なものではなかった、という主張につながる。)
    • ※「演じる音楽」を提唱し「笑いの構造」に基づく創作を展開する作曲家の川島素晴は芥川作曲賞(1997)ほか受賞多数。国立音楽大学准教授。尚美学園大学、東京音楽大学講師。日本作曲家協議会副会長。(※文責・AI美芸研)
      https://ameblo.jp/actionmusic
    • 川島素晴(作曲家、国立音楽大学准教授、日本作曲家協議会副会長)
  • 「AIの創作と法」
    赤坂亮太(ロボット法研究者、産業総合研究所特別研究員)

    • AIの利活用は社会の諸部門に広がりつつあるが、創作の領域においてもその萌芽がみられる。このような創作にいかなる法的な意味があるのか、いかなる法的な保護がありうるのかという点では学術的な議論および政策的な検討が行われている。
      しかしながら、現状のAIが人間の特定の活動をサポートするものである以上、その法的な意味は、いかに利用者が創作に寄与したかという観点が問題となる。しかしながら、将来的には人間の寄与がなく創作をはじめるAIが登場するかもしれない。このような場合に、その創作にいかなる法的保護を与えるべきかの議論も重要である。今回は現在の法的な視点から将来的な法的な問題について概観する。
    • ※ロボット法研究者の赤坂亮太はウゴ・パガロ著『ロボット法』の共訳者でありAI美芸展「S氏がもしAI作曲家に代作させていたとしたら」カタログ寄稿者である。産総研特別研究員。DJ、フルート奏者。(※文責・AI美芸研)
      https://scrapbox.io/legaldesign-open/赤坂亮太氏(第1回ゲスト)
    • 赤坂亮太(ロボット法研究者、産業総合研究所特別研究員)
  • 「CAO (Composition Assistée par Ordinateur) の進むべき道」
    土屋雄(作曲家、東京音楽大学准教授)

    • 昨今のAI進化論以前から「機械による(或いは介在する)作曲」について、数多くの議論や研究がなされ、これまで各地で様々なコラボレーションが行われてきました。
      1957年の「イリアック組曲」はその出発点である傑作ですが、今日までいかに進化(或いは退化)してきたのか、作曲家が先端テクノロジーを作曲の思考としてスコアに投影させるプロセスについて、そのリアリゼーションを通してお話していきたいと思います。
    • ※IRCAMで学んだ経歴を持つ作曲家、土屋雄の2005年の論文では「作曲家と作曲支援ツールの今後」が考察されている。2008年度ヴァレンチノブッキ国際作曲賞(ローマ)特別表彰。東京音楽大学准教授。(※文責・AI美芸研)
      https://researchmap.jp/ttsuchiya8/
    • 土屋雄(作曲家、東京音楽大学大学院准教授)
  • 「AI美芸展“S氏がもしAI作曲家に代作させていたとしたら”について・2」
    中ザワヒデキ(美術家、AI美芸研代表)

    • 作曲とは何か。これは美術や文学における「創作とは何か」という問いと全く同じというわけではない。少なくともクラシックとその延長上の現代音楽は、記譜のシステムを内包するからである。すなわち音楽の制作は「記譜=作曲」と「解釈=演奏」とに、一部確信犯を除き安定的に二分されてきた。
      ところが佐村河内事件は、その作曲をも不安定化する視座を提供した。これがただの代作事件ではないことを示唆するアーティスティックな指示書の存在は、作曲を「発案=指示」と「解釈=記譜」とに、人称的にも二分した。
      ここで、創作性は「作曲>演奏」と仮定した場合の行く先は「指示>記譜」であろう。AI作曲家なる概念を導入するなら「目的関数の書き手」となる。
    • ※中ザワヒデキという表記の美術家名は医学部在籍時より使用。バカCGを経て方法主義宣言、新・方法主義宣言、人工知能美学芸術宣言。ビットマップ3D特許。著書『現代美術史日本篇』。元・文化庁メディア芸術祭審査委員。
      https://www.aloalo.co.jp/nakazawa/
    • 中ザワヒデキ(美術家/AI美芸研代表)