チャールズ・アイヴズは、四分音や多調、無調、ポリリズム、同時演奏、不協和音、引用、コラージュ等、多岐に亘る20世紀の主要な前衛技法を、音楽史にそれらが登場するよりはるかに早く、人知れず追究したアメリカの最重要作曲家である。
「演奏家に指が10本しかないのは作曲家の責任なのか」とは彼の言だが、ここから芸術家の構想とは本来、指の本数といったような人間という枠組を窮屈に感じるほど、自由で壮大なものであることがわかる。
「人間という枠組」とは何か。「人工知能」(AI)であれば、その窮屈な枠組から解放されて、自由に飛翔できるのか。
本企画「人工知能美学芸術展:演奏家に指が10本しかないのは作曲家の責任なのか」は、人工知能というある種の他者を想定することから芸術創作の本質に迫ろうとする、1日限りの合唱付フルオーケストラ音楽コンサートとシンポジウム、並びにホワイエで開催されるAI考察アート展である。