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第47回AI美芸研

「方法芸術とAI美学芸術」


●関連上映「AI芸術の先駆と拡張」記録映像


2000年に当会の中ザワが提唱した「方法主義」の展覧会が、現在、岐阜県美術館で開催されています。
11月11日(土)午後2時より、同館にて「第47回AI美芸研 方法芸術とAI美学芸術」を開催します。
またその前の2時間半、「〈AI芸術の先駆と拡張〉記録映像の上映会」を開催します(午前11時より)。
是非お越しください。 人工知能美学芸術研究会 中ザワヒデキ 草刈ミカ

第47回AI美芸研
関連上映

人工知能開発の目的は人工知能が人間の脳に近づくことだとイメージされる場合もあるが、逆向きにはそれは、人間の脳が人工知能と区別できなくなることである。時や場所、状況に応じて適切に受け答えをする鳥の鸚鵡がいるとするならば、その鸚鵡はわれわれ自身であることを知るべきだ。(「人工知能美学芸術宣言」2016より)

二十世紀の諸学諸芸に民主主義体制の結果として林立した同語反復は、形式ではなく方法への還元によって、再び単一原理として語られ始めなければならない。同語反復が意味する無意味は感覚主義や衆愚の口実とはならず、むしろその権威化には禁欲と戒律が要請される。(「方法絵画、方法詩、方法音楽(方法主義宣言)」2000より)

開催概要

  • 【名称】

    第47回AI美芸研「方法芸術とAI美学芸術」

  • 【日時・会場】

    2023年11月11日(土)14:00-17:00

    岐阜県美術館 講堂(岐阜市宇佐4-1-22)

  • 【参加費】

    無料

  • 【講演・出演】

    大久保美紀(キュレータ、情報科学芸術大学院大学准教授)
    秋庭史典(名古屋大学大学院情報学研究科教授)
    大泉和文(アーティスト、中京大学工学部教授)
    三輪眞弘(作曲家、情報科学芸術大学院大学教授)
    中ザワヒデキ(美術家、人工知能美学芸術研究会、AI愛護団体)
    草刈ミカ(美術家、人工知能美学芸術研究会、AI愛護団体)
    ※後半に観客含めた全体討論の時間を設けます。

  • 【主催・企画・協力】

    主催:岐阜県美術館、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]
    企画:人工知能美学芸術研究会[AI美芸研]
    協力:特定非営利活動法人AI愛護団体


  • 関連上映
    「AI芸術の先駆と拡張」記録映像の上映会 →リンク

    2023年11月11日(土)11:00-13:35 岐阜県美術館 講堂 入場無料
    ※第47回AI美芸研開催前の2時間半、今年9月2日に旧東京音楽学校奏楽堂にて開催された「AI芸術の先駆と拡張 〜自動ピアノ・四分音・生成AI〜」の記録映像(155min)を講堂にて上映します。ロール紙方式自動ピアノでのコンロン・ナンカロウ「習作」多数演奏、自動ピアノ(無人)と四分音ピアノ(有人)の世界初共演(有人演奏:大瀧拓哉)、生成AIを用いた楽曲初演等。
    https://www.aibigeiken.com/exhibition2023/


  • 関連展覧会
    〈方法主義芸術〉−規則・解釈・(反)身体[IAMAS ARTIST FILE #09]

    2023年10月11日(水)〜12月24日(日)10:00-18:00(入場は17:30まで)岐阜県美術館 展示室2
    入場料:一般340円・大学生220円、または所蔵品展示の観覧券
    ※第47回AI美芸研は、岐阜県美術館にて現在開催中の「〈方法主義芸術〉−規則・解釈・(反)身体[IAMAS ARTIST FILE #09]」の関連催事です。第47回AI美芸研開催前後の時間にも併せてご観覧ください。
    https://www.iamas.ac.jp/af/09/
    https://kenbi.pref.gifu.lg.jp/events/iamas-af_09/

講演

「反人間中心主義としての「方法」と「AI」、自動ピアノ」
中ザワヒデキ(美術家、人工知能美学芸術研究会、AI愛護団体)


岐阜県美術館に出品中の1997年以降の自作について述べた「文字の意味と反意味 〜文字座標型絵画、五十音ポリフォニー〜」(『ユリイカ』1998年5月号)を、最近再読した。冒頭に鳥の鸚鵡の話が出てくる。そして、その鸚鵡は意味がわかって喋っているのではないとの主張に、私が異を唱えている。鸚鵡と同じく、私だって意味がわかって喋っている訳ではないのではないか、という趣旨だ。ここから20世紀の諸学芸に現出した意味剥奪的事態を「自身が鸚鵡に過ぎないことのソクラテス的再自覚」と述べ、「人工知能=人工無脳=私」と演繹している。前者は「同語反復」として2000年の「方法主義宣言」に直結、後者は間を置いて2016年の「人工知能美学芸術宣言」注8箇所だ。人間非在の自動ピアノの芸術が、両者を媒介している。

「「方法」と「AI芸術」における非/身体」
大久保美紀(キュレータ、情報科学芸術大学院大学准教授)

「方法主義芸術と2000年代前半名古屋との交差」
秋庭史典(名古屋大学大学院情報学研究科教授)


西暦2000年代前半、名古屋で開催された展覧会と方法主義芸術との交差が少なくとも二度生じている。ひとつは、名古屋港で開催された「メディアセレクト」、もうひとつは、名古屋大学で開催された「講義としての芸術」である。前者では、中ザワヒデキ作品が展示され、後者では、三輪眞弘作品が上演された。このとき方法芸術は、メディアアートとサイエンスの文脈に置かれていたように見える。このことは、当時方法主義芸術がこの地でどのように捉えられていたかを探るヒントになるだろう。さらに、各展覧会での「人工知能的なもの」の位置づけを探ることで、人工知能芸術に対する、方法主義芸術作品と同時代の他のアート&サイエンス作品との違いについても考えてみたい。

「AIと創造性 −−初期コンピュータ・アートから続く課題」
大泉和文(アーティスト、中京大学工学部教授)


 コンピュータ・アートの誕生と共に、コンピュータないしAIと創造性の問題は繰り返し議論されてきた。1960年代に川野洋らが提示した初期コンピュータ・アートの諸問題と、現代の生成AIとの相似と相違点を述べてみたい。多くの生成AIが既存データの特徴抽出によるバリエーション展開である点において、川野が開発したフレーム内にある。AIが自ら作品制作し評価するようになった時、その存在意義(作品の価値)をいかに考えるべきか。具象に対する抽象芸術の誕生のように、AIは既存の芸術の枠組みを超えることは可能か。
 続いて、大泉と加藤良将のアート・ユニットであるDTGの作品《DM 1.0》(2019年)を紹介する。この作品はディープ・ラーニングの興隆を受けて,帰納法と演繹法の関係から着想したものである。

「方法主義と人工知能」
三輪眞弘(作曲家、情報科学芸術大学院大学教授)


 ぼくは「方法主義」活動のメンバーであったと同時に、この人工知能美学芸術研究会の発起人のひとりでもある。ただし、中ザワ氏が掲げた宣言(の内容)に賛同したというよりは、芸術の歴史や美学などを人工知能という視点から捉え直してみる、すなわち、そのような「思考実験」に賛同したつもりである。数多くの、これまでの研究会やイベントを通して、そのような「実験」の成果が目に見えるようになってきたことを嬉しく思う一方で、それらが西洋的、科学的な思考に強く支配されているようにも感じている。言うまでもなく、それとは異なるものこそが芸術に必要とされる思考だからだ。

第47回AI美芸研