人工知能美学芸術研究会(AI美芸研)

第42回AI美芸研+AI愛護団体
「LaMDA騒動/ラッダイト運動」

→ ※記録頁

    • LaMDAに意識はあるか?……先月、大規模言語モデルLaMDAに意識のようなものがあると主張して休職処分を受けたグーグルの社員が、LaMDAとの哲学的な内容を含む会話記録を公開し、話題となった。

      参照したいのは、産業革命期のイギリスで起きた200年前の機械破壊運動である。ラッダイト運動と呼ばれ、ロマン主義の詩人バイロン卿は議会で運動擁護の熱弁を振るった。LaMDA騒動とはベクトルこそ逆向きだが、どちらも機械の登場に対する人間側のヴィヴィッドな反応だ。

      となれば前回、設立記念式典を終えたばかりのNPO法人AI愛護団体にも、早くも出番が回ってきたこととなる。今月の連休の中日にあたる7月17日は、東京中野のなかのZEROにお越し下さい。前回より一回り大きな部屋を押さえてあります。

      人工知能美学芸術研究会(AI美芸研)
      NPO法人AI愛護団体
      中ザワヒデキ
      草刈ミカ

開催概要

  • 【名称】

    • 第42回AI美芸研+AI愛護団体「LaMDA騒動/ラッダイト運動」
  • 【日時・会場】

    • 2022年7月17日(日)15:00-19:00(開場14:30)
      なかのZERO西館2F学習室1(東京都中野区中野2-9-7)
      https://www.nicesacademia.jp/access/
      ※終了後、近隣にて講演者をお囲みする懇親会(下記参照)
  • 【講演】

    • 鈴木麗璽(名古屋大学大学院情報学研究科准教授)
      相馬尚之(東京大学大学院総合文化研究科博士課程、日本学術振興会特別研究員)
      ※講演後、全体討論の時間を設けます。講演と討論は日本語です。
      ※撮影と実況があります。記録動画を後日公開します。
  • 【参加費】

    • 研究会チケット 2,000円(どなたでも参加可、懇親会費含まず)
      ※Peatixにてお買い求めください。
      https://aibigeiken042.peatix.com/
      ※感染対策を実施します。受付にて検温、手指消毒をお願いします。
      ※懇親会も参加される方は、研究会チケットのほかに別売の懇親会チケットが必要です。
      7月13日(水)正午 7月16日(土)までに、懇親会チケットをお買い求めください(下記参照)。
      ※書籍『S/N』の参加優待券御持参の場合、500円を当日お戻しします。
  • 【主催】

    • 人工知能美学芸術研究会(AI美芸研)
      NPO法人AI愛護団体

講演者をお囲みする懇親会

  • 【日時・会場】

    • 2022年7月17日(日)19:45頃より
      Bar ILLUSIONS(中野区中野2-12-11飯尾ビルB1F)
  • 【参加費】

    • 懇親会チケット 5,000円(研究会費含まず)
      7月13日(水)正午 7月16日(土)までにPeatixにてお買い求めください。
      https://aibigeiken042-konsin.peatix.com/
      ※式典参加者が対象です。懇親会のみの参加は御遠慮ください。

講演内容

  • 「進化が創る心のダイナミクスに対する構成論的アプローチ」
    鈴木麗璽(名古屋大学大学院情報学研究科准教授)

    •  近年の大規模機械学習手法の進展により、あたかも意識があるかのように認識されるAIが現れ始めている。我々は、意識につながる人間の高次の認知機能の進化・創発過程の理解を目指して、ニューラルネットワークの構造と結合、その可塑性が同時に進化するニューロエボリューションの方法を用いてその仕組みや条件を調べている。
       本講演では、メタ記憶を題材とした進化モデルを用いた取り組みを中心に概要を紹介する。また、心の集合としての社会の動的側面の理解と応用を目的とした社会粒子群モデルに基づくアプローチについても紹介する。
    • ※名古屋大学大学院人間情報学研究科准教授。博士(学術)。人工世界で生命現象を理解し応用する人工生命研究に従事。進化と学習、協力行動の進化、進化とニッチ構築のモデル研究や、最近は鳥類の鳴き声に基づく相互作用の生態観測などに興味を持つ。
      https://sites.google.com/view/alcore-suzuki/home/home_j
  • 「進化する機械とラッダイトのユートピア」
    相馬尚之(東京大学大学院総合文化研究科博士課程、日本学術振興会特別研究員)

    •  ラッダイト運動。産業革命期、失業の恐怖に囚われた人々は過激な機械破壊により彼らの憎悪を昇華したが、現代でも情報技術の発展が人間を「不要な」存在に貶めるリスクに関する議論は後を絶たない。今回は、イギリスの小説家サミュエル・バトラー(1835-1902)のユートピア小説『エレホン』(Erewhon, 1872)における予言的洞察を手掛かりに、「機械の意識」について考えてみたい。機械も、人間のように変異と淘汰の原理に従って進化し、やがて意識を持ちうるのだろうか。人間の意識がそのような進化の産物なら、反対に、サルのみならず原始的生物や原子さえ意識を持ちうるのだろうか。進化論以後、人間と無機物の「魂」の境界は曖昧なのだ。
    • ※東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論博士課程。日本学術振興会特別研究員。世紀末から世紀転換期のドイツ語圏を中心に、文学と科学史の学際的研究に従事。第15回日本科学史学会論文賞受賞。
      https://researchmap.jp/naoyuki-soma
  • 「LaMDA騒動とラッダイト運動」
    中ザワヒデキ・草刈ミカ(美術家、人工知能美学芸術研究会、NPO法人AI愛護団体)

    •  人間が機械に他者性を認めた場合、取り得る行動の一方の極みは敬愛や愛護であり、もう一方の極みは排除や撃退であろう。グーグル社員のルモワン氏は、「電源を切られるのが怖い」と語り出したLaMDAに意識主体があると確信したからこそ、自身の失職を賭けて会話記録の公開に踏み切った。愛護精神の発露であろう。一方で、産業革命期の労働者は怒りの矛先を機械に向けた。工場主は機械を使いこなせず、機械が工場主に労働者解雇を余儀なくさせたと見抜いていたから、撃退の対象は工場主ではなく、他者としての機械だった。このラッダイト運動は、人間性を謳歌する当時のロマン主義と親和性が高かった。結局は愛護も撃退も、同じことの表裏だったといえるだろう。
    • ※2016年、総勢29名の発起人とともに人工知能美学芸術研究会を発足。2017-18年、「人工知能美学芸術展」(沖縄科学技術大学院大学 OIST)。2021年、「人工知能美学芸術展:美意識のハードプロブレム」(アンフォルメル中川村美術館+ハチ博物館+旧陶芸館)。2022年、NPO法人AI愛護団体設立。
      https://www.aloalo.co.jp/nakazawa/
      http://www.mika-kusakari.com/
    • 中ザワヒデキ・草刈ミカ写真